腰痛

腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、脊柱管狭窄症など病院で診断され、それにより腰痛が発症しているという方も多いと思います。マッサージや鍼で効きますか？というご質問をよく受けます。当院では診断名に対してこういう治療法が効く、という事はないですが、症状の改善は可能です。
同じ症状、診断名でもそれぞれによって状態も違い、原因も異なってきます。単純な筋肉の疲労、張りによる腰痛も診断名のある腰痛も原因があり、その原因を改善することにより症状も改善します。

腰痛を訴えている方は下記のような状態が多くみられます。
・身体の捻じれが強い
・身体の前後のバランスが崩れている。（骨盤の前傾が強くなってしまっている）
・骨盤の動きがかたい（骨盤の周りの筋肉がかたまってしまっている）
など。

この様な状態になると筋肉の緊張が増し、張り感や痛み、怠さを感じるようになります。また前後のバランスの崩れは脊柱（背骨）の湾曲を正常ではない状態にしてしまいます。
脊柱の湾曲が減少したり又は過度になったり、骨盤の動きが固くなってしまうと負荷が掛かった場合に力を逃がすことが出来ずに関節部により大きな負担が掛かる、筋肉の緊張が増強してしまうなどの弊害が起こります。

まずは身体の状態を確認します。全身の筋肉の緊張、体重の掛かっている（支えている）箇所、上半身の前傾、骨盤周囲の固まり、下肢の張り、膝、足関節の可動域など。

痛みの出ている部位の筋緊張の緩和は当然重要ですが全身の施術を行い原因となっている状態の改善を図っていきます。ここでは骨盤周辺、腰部の筋緊張の緩和を中心に解説を行っていきます。

仰向け
下肢前面、鼠径部、股関節周囲、膝周囲、下肢末梢の筋緊張の緩和を図っていきます。
下肢前面、各関節周囲の筋緊張の緩和を図ることにより骨盤周辺の筋緊張も緩和され、骨盤が動きやすくなります。
荷重の掛かっている箇所は特に筋緊張が強くなったり関節の動きが悪くなったりしますので緊張の緩和を図ります。

続いて上半身の施術です。上半身の前傾や緊張が骨盤の動きにも影響を与えてきます。
上半身の前傾緩和を図るため、胸部、側腹部、上肢、前頚部の筋緊張を緩めていきます。
特に肋間～側腹部、胸部、上腕は緊張が強く固まりやすいので上半身を起こすように筋肉を緩め、肩関節、上肢の運動法により関節可動域の拡大を図っていきます。

うつ伏せ
仰向けで鼠径部～股関節周辺の筋緊張の緩和を図ることにより骨盤の前傾を緩和することができ、骨盤全体の動きの改善と仙骨部周辺の筋緊張の緩和が図りやすくなります。

腰部、仙骨周辺の筋緊張の緩和、下肢～骨盤の動き改善、上半身脊柱周辺の筋緊張の緩和、肩甲骨周辺の筋緊張の緩和及び動きの改善を図っていきます。

下肢は股関節～膝関節の動きの確認を行いながら股関節周囲、膝関節周囲の筋肉の緊張を緩めていきます。さらに末梢の足関節、かかと～足底の筋肉の緊張も緩め下肢全体の緊張の緩和と関節可動域の拡大を図り、骨盤の動きの改善に繋げていきます。

続いて上半身です。
骨盤の際から脊柱周囲の筋肉の緊張緩和を図っていきます。腰部の筋肉を緩めることも重要ではありますが、骨盤の際の筋肉を緩めることで骨盤が動きやすくなるため腰部の筋緊張も緩和しやすくなります。
骨盤への影響として肩甲骨の動きも関係してきますので肩甲骨周囲の筋肉も緩めていきます。仰向けで前傾の緩和のために胸部、側腹部への施術を行いましたが、うつ伏せでさらに肩甲骨外側～上肢、肋間、脊柱付近の筋緊張の緩和を図ります。
肩甲骨～上肢の運動法を行い肩甲骨、肩関節の動きを向上させます。

このように骨盤、肩甲骨の動きの改善を図り、腰部の筋緊張を緩和させることにより腰痛の軽減を図っていきます。

腰痛を訴えている方の多くは腰部に意識がいきやすく、その他の部位がどのような状態にあるかの把握が出来ていないことが多いです。
腰痛になる原因が必ずありそれが何故起きているのかという事が重要で予防にもつながります。
前傾姿勢が強い、骨盤の動きが固い、下肢の各関節が固いなど様々ですが、自分の状態を知って頂き、癖や使い方、重心の位置などを気にして固まっている部分をご自身でストレッチして頂き、使い方の改善を行いながら腰痛の軽減と予防をして頂きたいと思います。
特にぎっくり腰などの急性の腰痛はその前の身体の状態により引き起こされることが多いので日常で状態を良くしておくことが重要です。